2009年10月5日月曜日

かなちゃん

例えば、
佳奈ちゃんが居なかったら私は
ちーちゃんじゃなかったんだろうし、
もえちゃんが居なかったら、佳奈ちゃんじゃなかった
って、そういう感じなんだと思う。
そういう風に私達はずっと育ってきたし、
村田家仲良いねって言われたら、
そうでしょって三人が三人堂堂と言うし、
たしかに泥臭くて痣だらけで醜い
喧嘩とか悪口とかもたくさんあるけど
だからどう、って話でもないんだよね。
どんなに嫌いあって死にそうにむかつきあっても
次の日にははしゃいでて、もーさんとママに呆れられる
っていうのが当たり前なんだよね。
-
たくさんの小さな思い出がたくさんあるの。
あんなこともあったね、こんなことも、とか。
でも例えばさ、
イギリスではほとんどお互いだけが遊び相手だったじゃない。
家の中に居る時でも、お庭に居る時でも、ガレージに居る時にでも
何もすることなくてつまらないって瞬間って
一つもなかったよね。
いろんな遊び考えたし、
別に遊びを考えなくても楽しかった気がするの。

でも、実は遊び相手である前から、
私が覚えてない位小さい時から、
かなちゃんは私を必死で守ってきたってこと
なんとなく知ってるよ。
「ちーちゃんおいで」「ちーちゃん危ない」
「ちーちゃんこっちおいで。
かなちゃんがブランコに乗せてあげる」
ってビデオたくさんあるよね。
イギリスに居た時とか上井草に住んでる時はもちろん
渋々に居た時もかなちゃんは常に
片目を私に置いていたんだと思う。
大きな苦しみや大きな悲しみが私にふってきた時には
気づいたらそこに居たよね。
私はそれがいつも偶然だと思ってたんだけど。

かなちゃんはいつも私の進む道の
レール敷きを手伝ってくれたことは
とても有り難くて、甘えちゃった反面、
今思えば、私はそれがために、負担を抱え始めた気もするの。
かなちゃんが常に前例に居るから、
かなちゃんが楽しんだ分だけ、いや、それ以上に
楽しまなくちゃいけないってどこかでずっと思ってた。
今でも思ってる。
かなちゃん以上に高校生活楽しんで、
アメリカ留学楽しんで、
大学生活楽しんで、
そして社会人生活楽しんで、って。
何が何でも超えなくちゃいけない、って。
どこかでいつも思ってる。
だから、追いつけない時に私は
かなちゃんが憎くなる瞬間があるんだと思うの。
羨ましいを越えて、
どうしてそう上手くいかせるの、
ハードルをどんどん上げられて、
それに追いつけない自分に不甲斐なさを感じて
自分が嫌になって、
でもそんな自分を認めたくなくて、って。
かなちゃんが良い意味でも、悪い意味でも
常に追いかける存在なんだよね。

だからこそ、最近前よりも私は
どうかなちゃんと向い合って良いのか分からなかったんだと思うの。
どんどん自立すればするほど
ハードルを一つ一つ越えていくことが、
超えた様に見せることが自己責任になっていって、
少し苦しい
必死で今でももがいてるの。
私の人生の究極の楽しいを、居心地いい場所を探してるの。
でも見つからないと思う、このままでは。
かなちゃんを超えたハッピーを目指すんじゃなくて
自分のハッピーを探さなくちゃいけないんだよね。
私は今でもかなちゃんに甘えてるのかな?

あとね、
すごく下手な言い訳を並べると、
こんな私でもたくさん悲しい思いをしたりするうちに
これ以上自分の心をぼろぼろにしまいと
悲しみから逃げるスキルを磨いていってしまった気がする
来るって分かってる悲しみに直視しないことで
まるで何でもないかのように生活をする
っていうのが癖になっちゃったのかな。
ママみたいに「寂しくなる」って素直に言えないし
もーさんみたいにかなちゃんと過ごす時間を増やせなかった。
逃げ回って、目をそらすことしか
不器用な私にはできないの。
悲しい思いをさせたくなかったの、自分にね。
-
離れて住んだことは今までで数回あるし、
別に離れて住んでるから何かが変わるとも思ってない。
でも凄く寂しいの
とにかく寂しい
まだ向き合えないの。
バカ騒ぎしてたら朝になっちゃった、とか
一緒にマネキュア塗ったりとか
一緒にもーさんバカにしたりとか
一緒にママの酔っ払いに付き合ったりとか
一緒にコンビニに行ったりとか
お前がデブだの、お前がブスだの言い合ったり、とか
そういうこと、ここで、
2階で、もうしないのかな?
-
さっきもーさんが
「ねえちーちゃん、これから
かなちゃんが居なくなって寂しくなるね」って。
私は今でもちゃんと向き合えないから
妹が素直になれる時にでもなれないから
「そう?」って言うけど
きっと誰よりもさびしいのかな、バカみたい。

今朝、家出る前に
かなちゃんが自分の部屋を見て、
自分の部屋を思い出に変えてるのが分かったの。
そんな表情だった、卒業の表情。
それがすごく辛かった。
そんなことしなければいいのに。
あとね、気づいた?
出国ゲート入る直前に、
喧騒の中でも聞こえるくらいはっきりと
「行ってらっしゃい」って、パパが。
あんなはっきりとパパが話したこと
10年前くらいに怒鳴った時以来聞いたことなかった
-
ただ寂しいんだと思う。
そんな風には決して見せないけど。
いつでも戻っておいで。

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